用紙の基礎知識

印刷用紙は種類が非常に多く、厚みの違いを入れるととんでもない数にのぼりますから把握するのは無理です。しかし、自社で使用している用紙及びコストダウンのための代替品くらいは確実に掴んでおきたいものです。

用紙は基本的に大きさ(寸法)と重さで取引されます。したがって、印刷見積をする場合は、用紙の単価は大きさと重さとで決定されますから、用紙の大きさ、重さについての理解を深める必要があります。

用紙の種類

用紙の基本的な知識を知っておきましょう。ここでは、チラシやカタログに使用される薄紙(うすがみ)を紹介します。

大別すると表面にコーティングを施した「コーテッド紙(塗工紙)」と「ノー・コーテッド紙(非塗工紙)」の2種類です。塗工紙はさらにグロス紙(艶あり)とマット紙(艶なし)に分けられます。塗工紙は表面の塗工量の厚さでアート紙(A1)、コート紙(A2)、軽量コート紙(A3)、中質コート紙(B2,B3)とランク付けがされています。AとBの違いはベースになる紙質のランクでAコートは上質紙がベース、Bコートは中質紙がベースになっています。アート紙(A1)にはさらに上級の高級アート紙と呼ばれるものがあり、A0(ゼロ)と表現することもあります。

非塗工紙は、上質紙と中質紙に大別されますが、中質紙の中には微塗工紙と呼ばれる塗工紙と非塗工紙の中間のような紙があります。白さでは上質紙に負けますが、カラー印刷にも使用できる特徴を持っています。

用紙の大きさ

大きさはJIS規格によって定められています。日本では寸法系列が2種類あり、それぞれA列、B列と呼ばれ、A列にはA判と菊判、B列にはB判と四六判の計4種あります。どの寸法の紙も縦横比がほぼ1:√2になっており、長辺を1/2にしても縦横比は変わらず1:√2(白銀比という)になります。

A4判の本とかB5判のコピー用紙の寸法は仕上げサイズで呼んでいますから、用紙サイズの呼称とは寸法が異なります。カタログやパンフレットに仕上げるには最後に製品の周りを断裁してきれいに揃えますから、断ち落としの余白が必要となります。その余白があるぶん用紙サイズは、仕上げサイズより大きくなっています。

用紙の寸法
規格A判菊判B判四六判
寸法(mm)625×880636×939765×1085788×1091
仕上げ寸法
A1A2A3A4A5A6
寸法(mm)841×594594×420420×297297×210210×148148×105
B1B2B3B4B5B6
寸法(mm)1030×728728×515515×364364×257257×182182×128

用紙の重さ

もう一つの規格は重量です。紙は厚みで分類されるのではなく、重さで分類されます。単位面積当たりの重さが大きくなると、つまりは紙厚も厚くなるのですが、金属板のように正確な寸法は望めません。そこで、1,000枚当たりの重さ(連量といいます)で表示され、分類されています。また、それとは別に1㎡当たりのグラム数(g/㎡)で表示される場合もあります。コピー用紙や封筒のラベルに70gとか64gsmなどの表示がそれです。

連量の最少単位は0.5kgでg/㎡(米坪といいます)は小数点第1位まで表示します。ここで連量と米坪の関係を具体的に説明します。157g/㎡の紙があります。これを四六判の連量、A判の連量ではどう表示されるか計算してみます。
四六判の寸法は、1.091m×0.788mですから面積は0.859708㎡となります。これに157g/㎡をかけると、134.974156g(1枚の重さ)となります。連量とは紙1,000枚のことですから、134.974156g×1000=134974.156g、これをkgに換算すると134.974156kgとなり、表示を0.5kg単位にしますから2捨3入、7捨8入すると、135kgとなります。同様にA判で計算すると、0.88m×0.625m×157g/㎡×1000÷1000=86.35kgとなり、表示は86.5kgとなります。
つまり、連量を表示すれば紙の寸法と重さの両方がわかる、という仕組みです。印刷会社の営業はよく使う20種類以上は覚えています。

上質紙の連量表示(単位kg)
↓米坪g/㎡A判菊判B判四六判
6435385355
81.444.548.567.570
104.757.562.58790
127.970.576.5106110
15786.593.5130.5135
コート紙の連量表示(単位kg)
↓米坪g/㎡A判菊判B判四六判
79.143.54765.568
84.946.550.570.573
104.757.562.58790
127.970.576.5106110
15786.593.5130.5135

※米坪104.7g/㎡以上は上質紙もコート紙も同じ


用語説明

アート紙とコート紙の違い・・・ 表面に塗工する量が違うと本編で説明しましたが、塗工量が違うと何が変わるのでしょうか?塗工する目的は、表面を平滑にするといことです。平滑度が増すと、オフセットの表現方法である網点の再現性がよくなり、写真がシャープに印刷されます。アート紙は同連量のコート紙に比べ紙より密度の高い塗工原料を多く使用しているため、紙厚は薄くなります。

白銀比・・・ 初めの縦横比は 1:√2 です。そこで長辺(√2)を半分に切ると √2/2 となり半分になった紙の縦横比は √2/2:1 となりますが、わかりやすくするために比の両項に√2をかけると √2×√2/2:√2×1 = 2/2:√2 = 1:√2 となり、最初の縦横比と同じことがわかります。

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