写真撮影・DTP

この写真撮影とDTPがアナログからデジタルへ変革した最たるものでしょう。デジタルカメラの性能向上と画像処理ソフトとが相まって銀塩フィルムの品質に迫ろうとしています。写真をそう大きく扱わない商品カタログなどはほぼデジタルカメラでの撮影です。アナログ時代は版下、製版という作業であったのがデジタル化されてパソコンでの作業が取って代わりました。版下、製版作業のほうが写真撮影に先行してデジタル化していたため、写真がデジタル化されたことでより一層の品質の安定化とスピードアップが図られました。

写真撮影代

価格に絡んでくる要素として、屋外での撮影かスタジオでの撮影かがあげられます。屋外の撮影となるとロケハンから始まり、その場所での撮影許可をとり、天候のことを考慮して予備日を設定し、モデルが必要な場合は手配をし、商品や撮影器具を運んでやっと撮影となります。交通費など諸経費もバカになりませんから、スタジオ撮影と比べるとかなり割高になるのはやむを得ないでしょう。

スタジオ撮影でもシチュエーションによってかなり金額の差が出てきます。一番安価なのが「切り抜き」用の撮影です。紙面上では商品だけが印刷されますから、周り(Back)のセッティングが不要だからです。商品とBackの素材を一緒に撮影し、紙面上でも周りの情景も含めて四角や丸などで表現する撮影を「バックイキ」などと呼んでいますが、こうなると切り抜き用の撮影と同じようにはいきません。バック素材の購入やそのセッティングにお金と時間を要しますから、これも割高になります。

さらに極端になると、部屋のセットをスタジオ内に作って寝室やリビングに見立てて撮影することもあります。大道具が必要な撮影はかなり割高になることを覚悟しなければなりません。

このようにデジタル化とは関係のない部分では従来の撮影方法と何ら変わりありません。ここで重要なのは撮影のやり直しのないような工程を入れて時間とお金の無駄を削除することです。事前に撮影のためのラフ(ラフスケッチ)を書き起こしてもらって、発注者の意図がカメラマンに伝わるよう打ち合わせをしてから撮影に入ってもらえば撮り直しは避けられると思います。もちろん撮影ラフの書き起こしと打ち合わせにもお金は発生します。

DTP代

1990年代後半から始まった印刷前工程のデジタル化は、安価でしかも高性能なパソコンの普及やそれに伴う編集ソフト及び画像処理ソフトの飛躍的な進歩によってさらに進化しています。同じパターンを繰り返す単純なレイアウトのカタログでも、以前は全部手作業で作っていたものが、現在ではデータベースを構築して文字や画像を各ページに流し込むプログラムを組んでやれば、自動的にページができあがるようになっています。要するに、デザイン的なものに少々目をつむれば早く、安価なものが作れるようになってきたわけです。それをどこまで許容するかはクライアントの問題で、逆にそういう提案をする印刷会社は良心的とも言えます。

これからの話は所有権が絡んでくるのであまりお勧めできませんが、印刷会社と合意が成立できるなら知っておいて損はないお話です。
印刷物を作る課程で発生する中間材料は印刷会社に帰属する、というのが裁判所の判断です。具体的には、撮影で生じたフィルムあるいは画像データ、印刷原版などです。印刷会社とクライアントの売買契約は、最終形である印刷物ですから、それを作る課程の原材料は印刷会社の所有物である、というわけです。ですから、撮影代を払っているからフィルム、データを寄こせ、は通らない話なんです。しかし、1つのクライアントが数社の印刷会社と取引をしている場合、クライアントとしては例えば画像データを自由に使いたいと思うようになってくるのは、自然な流れです。以前に撮影した商品の画像データがA印刷会社にあるが、今回は見積もり最安値のB印刷会社へ発注したい、しかし、A印刷会社は画像データを渡してくれない、こういった場面が何度もあったと思います。健全な競争見積もりで印刷物を発注するのであれば、A印刷会社は自身が所有していない画像データに関係する印刷物の見積もりに参加できないのは、少し不合理な気もします。取引業者合意のもとで、データを貸し出すという契約を結べば、データ所有権の有無に関係なく受注機会が増えるわけですから、お互いに損はないと思います。むやみに見積もりの金額を値切るばかりがコストダウンではないということです。


用語説明

ロケハン・・・ ロケーション・ハンティングの略。屋外撮影の場合は、イメージにあった場所を探さなければならず、また、適当な場所があっても商業撮影を禁じているところもある。さらに、光線の具合が一番よい時間帯も現場に行ってみないとわからない。こうした撮影に適した場所と時間帯を探し出すのがロケ・ハンである。

DTP・・・ Desk Top Publishing(デスク・トップ・パブリッシング)の頭文字をとったもの。机上で印刷の元になるものを作り上げることを意味し、つまり机の上に乗っているパソコンで様々な編集作業をすることである。それまでは、ほとんど手作業でやっていた作業が、画面上でできるようになり写植、版下作成の職人さんが大勢廃業したり転業した。しかし、DTPへの移行は、品質の安定、人件費の抑制に大きく貢献している。

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