製本の基礎知識
印刷が二次元の作業だとすると、製本は三次元の作業だと言えます。ここでは、カタログなどのような綴じられた本を中心に説明していきます。製本を目的に印刷するときは、1頁ずつではなく複数頁を1枚の紙に同時に印刷します。そうして印刷された紙を折りたたんで1頁の大きさにして、それを何種類か束ねて1冊の本に仕上げます。
上図は、1枚の用紙に表裏16頁を配置したものです。3回半分に折っていくと1p~16pまで連続して折りたたまれていることが分かります。ページ数の多い雑誌やカタログはこの16頁に折られたものが基本となります。
製本の種類
製本の形式は概ね次のように綴じ方で分類されます。
- 無線綴じ
- 1頁の大きさに折り上がったもの(折丁といいます)を上へ上へ重ね、背表紙に当たる部分を削り、のりを着けて表紙を巻きます。
- 平綴じ
- 無線綴じと同じように折丁を重ね、上から針金で綴じます。表紙を巻く場合がほとんどですが、簡易にするために表紙を巻かないときもあります。
- かがり綴じ
- 無線綴じと同様に折丁を重ね、折丁のセンターを糸で綴じ、さらに折丁同士も同じ糸でつなげる綴じ方です。
- 中綴じ
- 折丁のセンターをひろげて重ね、センターを針金で綴じる綴じ方です。
無線綴じの特徴はかなりの頁数を綴じることができ、連続した流れで製本されますから(1時間に数千部以上)頁数のある比較的大量の製本にむいています。
平綴じは無線綴じほど頁数の多いものは製本できませんが、針金で綴じているぶん強度があり、表紙を巻かないこともできるので、安価にできます。
かがり綴じは無線綴じのように背を削らないし、糸で綴じるため綴じた部分が強く、耐久性に優れます。ただし、工程が増えることから無線綴じより割高になります。
中綴じは頁数が多くなると、センターに行けば行くほど誌面の横寸法が短くなりますから、事前に本紙を使用して試作(束見本を作るといいます)して、寸法差を実測して誌面サイズを決定しなければなりません。頁数の少ないものに適しています。
製本代の算出(概念)
製本の金額を構成しているのは、折(輪転機で折りだしてきたら、この項目はなし)、丁合、綴じ、表紙くるみ、包装などでしょう。中綴じは表紙と本文が同じ紙の場合もあり、特に「表紙くるみ」項目を設けない場合もあります。
具体的に数字をあてはめて、無線綴じの見積をしてみましょう。A4仕上げの本文160頁では、次のような計算式となります。(単価はあくまでも例です。)
- 折り加工あり
- 折(16頁×10台×@2)+丁合(16頁×10台×@1)+綴じ(@15)+表紙くるみ(@8)+包装(@0.5)=53.5円
- 輪転折り出し
- 丁合(16頁×10台×@1)+綴じ(@15)+表紙くるみ(@8)+包装(@0.5)=33.5円
用語説明
輪転機・・・ トイレットペーパーのような巻き取り紙を使用する印刷機で、両面を同時に印刷し、さらに熱風を吹きかけて乾燥させてしまうので、すぐに折り加工ができる。用紙が連続しているので印刷速度が速く1時間に約4万枚~5万枚(印刷できる紙の大きさと用紙の種類による)以上印刷できる。
束見本(つかみほん)・・・ 頁の寸法確認だけでなく、できあがった本を段ボールケースで梱包する際のケースの寸法を決めたり、1梱包の重量を量って納品の際のトラック台数を計算したりする。